「Into the Light」は山谷佑介自身が家庭を持ち、他人の「家」に興味を持ったことをきっかけに東京郊外の住宅街を深夜に赤外線カメラで撮影したシリーズ。無機質であるにもかかわらず、住人とともに変化を続け、人間の営みとは切り離すことができない「家」は、不可視光線に反応する赤外線カメラを使っても、もちろん覗くことはできない。覗き込むことのできない諦めや苛立ちと、それでもなお人間の営みを覗いてみたいという欲求は、「見ること」と「見られること」を強く意識させた。他者から見られるということに恐れを抱く反面、日々多くの情報を目にしている私たちは、より多くのものを見たい・知りたいという要求が増しているという矛盾を抱えている。深夜の住宅街に漂う、自己と他者との圧倒的な隔たりの中で、他者の領域に足を踏み入れ撮影することに対して山谷は、「自分と世界との隔たりを感じさせながらも、妙な居心地の良さを感じさせた」と語る。
(出版社紹介文より)