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野村佐紀子の『Träumerei トロイメライ』は、上下に二つのイメージが摺られたモノクロの作品が5点、そして野村の出身地である山口県下関で撮られた花を撮った静物写真1点とで構成されたポートフォリオです。タイトルはドイツの作曲家ロベルト・シューマンのピアノ曲でも知られ、『夢』または『夢想』を意味する単語です。この言葉から連想されるように、今回の6点は旅の記憶や親密さが混在しながら、どこか白昼夢のようなイメージが連想させるのが特徴となっています。作品のタイトルとなっている都市の名前ですが、必ずしも二つの写真がそこで撮られたのではなく、今回のポートフォリオを作る時に野村が組み合わせた作品に対して付けたタイトルとなっています。
野村佐紀子(のむらさきこ)
山口県出身、九州産業大学芸術学部写真学科を卒業後、1991年より荒木経惟に師事。在学中から男性のヌードを被写体とし、1993年以降これまで国内外で200を越える個展やグループ展を行っている。主な写真集に「裸ノ時間」(平凡社)、「夜間飛行」(リトルモア)、約100名の男性たちのヌードを主軸に約20年間にわたって撮影した写真群を400ページで構成する写真集『愛について』(ASAMI OKADA PUBLISHING)を2017年に発表した。