





頭山ゆう紀が榛名湖アーティストレジデンスで滞在制作した作品をまとめた写真集。湖畔の風景と水中カメラでの撮影を試みている。全ページ蛇腹製本。
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榛名湖レジデンスに滞在する直前に母が突然亡くなった。
普段通りに過ごして多様な場面で母を想うより、環境を変えて生活をした方が心を誤魔化せると思い、母の死を受け入れないまま滞在を始めた。
榛名湖は霧が広がる静かな景色だった。
榛名湖には木部姫や渋川公夫人が入水し大蛇や竜になるという伝説がある。
湖の中の生と死の間のようなものが見たいと思い、水中カメラで湖の中を撮影した。
ネガ現像、暗室でのプリント作業と時間をかけて写真と向き合い、湖の中を立体的に粒子で表していく。
写真は目に見えない気配を写し、母の不在を現実にする。
時間はただ過ぎていき、母との記憶は鮮明になる。
榛名湖の霧の中、湖を眺めながら母の不在と過ごした。
(本文テキストより)