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大阪の生活史|編 : 岸政彦(Masahiko Kishi)

4,950円

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150人が語り、150人が聞いた大阪の人生 大阪に生きる人びとの膨大な語りを1冊に収録した、かつてないスケールで編まれたインタビュー集。 第76回毎日出版文化賞・紀伊國屋じんぶん大賞2022 W受賞『東京の生活史』の姉妹版 ______________________________________________________ こういう話はどこにでもあるものだろう。でもやっぱり、大阪だな、と思う。 この街に三五年以上住んで、やっぱりここがいちばん良い街だと思っている。 もちろん、どの街も、それぞれが世界でいちばん良い街だ。 それはちょうど、飼ってる猫が世界でいちばんかわいい、ということに似ている。ほかの子を飼っていたら、もちろんその子が世界でいちばんかわいい猫ということになる。世界中の猫が、それぞれ、世界でいちばんかわいいのだ。 だから、大阪が世界でいちばん良い街だ、ということと、それぞれどの街も世界でいちばん良い街だ、ということは、矛盾しない。 だが同時に、大阪がどうしても合わず、嫌になって出ていくひとも多い。そういうひとにとって大阪は、世界でいちばん合わない、嫌な街ということになるだろう。 それもまた別に矛盾しない。 大阪は、世界でいちばん良い街で、世界でいちばん嫌な街で、要するにそれは、世界でいちばんふつうの街で、世界でいちばんどこにでもある街だ。 すべての街が、世界でいちばんどこにでもある街である。 そこで生まれ、暮らして、死んでゆく、世界でいちばんありふれた私たち。 (……) この本に、私が付け加えることは、何もない。 とにかくもう、読んでください、としか言いようがない。一五〇人の生活史はどれも、ほんとうに、しみじみと、ただおもしろい。ここにはあらゆる喜びがあり、あらゆる悲しみがあり、あらゆる希望とあらゆる絶望がある。ここには大阪という街がある。 ── (岸政彦「あとがき――世界でいちばん、普通の街」より抜粋)

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