ニューヨークを拠点に活動しているアメリカ人アーティスト、アン・コリアー(Anne Collier)の作品集。本書は1970年代から2000年代初頭までに撮影された、女性のイメージが写る80枚のアマチュア写真で構成されている。デジタル化される前の時代にフィルムカメラで撮影されたこれらの写真は、作者が何年にもわたってフリーマーケットや古着屋、オンラインなどで購入し、収集したものである。プリントはソーシャルメディア上で流通するのではなく、かつて個人のために存在していたものの、撮影者や持ち主によって廃棄されたということを意味する。写真のイメージとその個人的なヒストリーの「放棄」というコンセプトは本作の中核をなし、記憶と悲しみと喪失と写真との関係を増幅させる。