写真家・酒航太の初作品『『ZOO ANIMALS 』。本作には、作家がおよそ10年前からライフワークとしている、日本各地で撮影された動物たちの姿が収められています。際限のないモノクロの中間調に浮かび上がる朦朧たる像は、愛玩されることも、消費されることも拒むように、ただそこに存在しているようです。
動物園にいる動物たちはアフリカの草原で生け捕りされ、私たちの目の前にいるわけではない。 多くは動物園で生まれ育ち、外の世界を知らずに一生を終える。
幸か不幸か、ここにいる動物たちはこの特殊な環境に選ばれた者たちである。 人工的な空間で寝起きする。食料は決められた時間に与えられる。体調が悪いものには医者がついている。 そして、いつも人に見られている。
暗室の赤電球の下、現像液の中でゆらゆらと浮かび上がってくる動物たちは、何も言わずにただ佇んでいる。 僕はこの沈黙に、自分自身の存在の深淵を覗いてしまったような気がした。
-酒航太
Bookshop M
2021年刊行
テキスト: 英語/日本語
サイズ: 縦257×横182mm
32ページ