2019年 個展「arche」開催に合わせ発行された写真集。
今作では母校の撮影を通して「守られること」の可視化を試みています。
生徒たちへの優しい眼差し、自身の子ども時代へ思いを馳せながら、痛ましい事件が続く社会に対しても静かに問いを投げかける作品です。
(以下、展覧会プレスリリースより)
太平洋戦争末期、東京にある白百合学園は戦禍を避けるため疎開を決定します。しかし戦時下でのキリスト教に対する風当たりはきびしく、疎開地探しは難航、ようやくたどり着いた地が、古くは函領(かんれい)と呼ばれた箱根の山の上でした。このカトリック女子校「函領白百合学園」で、大橋愛は小中高と学びます。
月日は流れ、付き合っていた彼を自死で失った大橋は、次第に「守られること」について考えるようになります。そして2015年、大涌谷の噴火活動が活発化したのを機に、本格的に母校の撮影に取りかかりました。
学校とは、子供達を世間から緩やかに隔離し育てる場です。それはまさにarche(アーシェ:箱舟)のような存在とも言えます。大橋は母校をメインに、生徒、規律、宗教、歴史、風土などにフォーカスし、それらの写真から立ち上がってくる「守られること」を可視化しようと試みています。