沖縄の洞窟「ガマ」。歴史が眠る闇を見つづけた力作。
バンタからガマの奥底へとマブイたちに誘われるように入っていった。
ここは、沖縄の霊魂、祖先、歴史、記憶が宿る神聖な場所。
恐る恐る足を踏み入れたガマの中は、ぞっとするような暗闇と重たい空気が漂う。
足下には、戦争の残骸が散らばっている。
深い闇に包まれ、何が見えよう。地球の子宮の底で対話はつづく。
シャッターを解放にし、見えないものを求め、懐中電灯を手に私は探る。
洞窟内がゆっくりとカメラに沁み込んでゆく。
私はイメージのなかを浮遊し、マブイたちとの対話をつづける。
何が聞こえているのだろう。
何が彼らのために表現できるのだろう。
イメージはどうひとに語りかけるのだろう。
これらの問いかけが私のなかでこだまする。
洞窟の闇からスタジオに戻り、霊たちを描きだすために。
(オサム・ジェームス・中川)